不当利得
今日のテーマは、今話題の事件について考えてみることにするにゃ!事件の内容を簡単にすな子説明してくれにゃ。
山口県阿武町が、1世帯10万円を振り込むはずの新型コロナウイルス対策の臨時特別給付金463世帯分(計4630万円)を誤って1世帯に振り込んだ問題で、男性側が返還を拒否してることが話題となってるよね。
不当利得の返還義務
この例は不当利得にあたるにゃ。民法703条では、法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。としてるにゃ。
「法律上の原因がなく」まさに振り込みを受けた受益者(Aさんとしておこう)はこれに当てはまるよね。そして、阿武町は実際に損失を被っているわけだから、これを返還請求できるし、Aさんは返還する義務を負わなければならないよね。
現存利益
民法703条の「その利益の存する限度において」とは、どういうことだにゃ。
説明してくれにゃ。
「その利益の存する限度において」とは、もし、そのお金で豪遊した場合は、その金額を差し引いて現在残っている金額だけ返還すればイイってことだね。
って事は、全部ネットギャンブルに使ってしまったと供述してるAさんは、お金が残ってなかったら返還しなくてもイイって事なのか?それは、ダメだろ〜?さすがに(゚Д゚)
善意(知らなかった)の場合は、「その利益の現存する限度(現存利益)」で不当利得の返還義務を負うとし、 現存利益とは、取得したすべての利益から、使った部分や減失・毀損した部分を差し引いた残りの利益を意味するよ。今手元に残っているお金を返還すればイイってこと。でも、Aさんは知っていたのだから原状回復義務つまり全額返還の義務を負うことになるよ。
ちょっと余談だけど、さっき説明した善意の受益者の現存利益の返還義務は、現在存在している利益のことをゆって、例えば豪遊やギャンブルなどで失ったお金は完全に消えてしまったという考えなんだけど、生活費に使ったり、借金を返済した場合には、それにより自分の財産の減少を免れているので、生活費や借金の返済は形を変えて存在してるって考えられ、こっちは返還しなきゃいけないんだよ。何とも変な話な気もするけどね。
悪意の受益者の返還義務等
なるほどにゃ。
Aさんは善意ではなく完全に悪意の受益者となるんだにゃ。第704条(悪意の受益者の返還義務等)悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
Aさんは阿武町役場が誤って送金してしまったことは知っていた(悪意)わけだから、悪意の受益者になるね。その場合は振り込まれた金額だけではなく、損害賠償も支払わないとダメだよね。
それで、阿武町役場は給付金の全額と弁護士費用などをあわせた5100万円余りの支払いを求めてAさんを提訴してるのだにゃ。(その後、訴訟は取り下げたようだけどにゃ。)
刑事事件について
今回は、民法に照らし合わせて事件をみてみたけど、実際にAさんは刑事事件として逮捕されてしまったね。
さっさと返還してたら実名も報道されることもにゃかっただろうし、逮捕も免れたかもしれんのににゃ。
刑事事件の最高裁の判決では、誤振込みがあることを知った預金者(口座開設者)が、そのことを隠して預金の払い戻しを請求することは詐欺罪が成立するってしてるよ[最決平15.3.12]。この詐欺は、銀行に対して詐欺を働いたってことになるよね。
刑法はいろいろと議論されてるみたいだにゃ。
銀行に対しての詐欺罪や、窃盗、はたまた横領にあたるのか、情報番組では電子計算機使用詐欺罪って説が頻繁に解説されてるにゃ。
いきなり大金が舞い込んできたらびっくりもしちゃって邪な思いも馳せることもあって、Aさんお金使い切ったって言ってるけど、ちゃんと返還される事を願うばかりだね。
ほんとだにゃぁ〜。人生まだまだ先は長いにゃ。さっさと返すのが一番だにゃ。
条文[民法703条・704条]
第703条(不当利得の返還義務)
法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
第704条(悪意の受益者の返還義務等)
悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。